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仕上げの美しさもさることながら、私はこのダイヤル最大の魅力は、それぞれのモデルがどのように奥行きを表現しているかにあると思っている。

どのモデルも外周が少しだけ下がっているが、ダイヤルと同じ色(ブルーまたはウォームグレー)で、サテン仕上げが施されている。アプライドの数字は、1段ずつ重なっている。そして、それらが一体となって光と影のコントラストによる思いがけない視覚的なダイナミックさを実現しているのだ。アニュアルカレンダーとクロノグラフモデルでは、各インダイヤル外周にも同様の処理が施されている。

幸運なことに、この記事を書くためにコレクションのすべてを目にすることができた。同コレクションに関する最初の記事で、時間・日付表示モデルのダイヤル上のスペースの広さに驚かされたことを覚えているだろうか。2本の針と日付窓があるだけで、ほかには何もない。何かが足りないのではと思ったが、実際に見てみるとそんなことはなかった。40mm×7.8mmという簡潔なサイズは、ダイヤル装飾に最適なキャンバスとなり、退屈しない程度の活気を与えているのだ。

私はこれまでも、そしてこれからもムーブメントのマニアだが、グレーダイヤルでスティール製の2針のトンダ PF マイクロローターは、腕につけたときに最も魅力的な時計だと感じた。ディナーのときも家の中で寝転がっているときも仕事のときも、どこでも身につけられる。そして私の時計がプラチナ製のベゼルとマイクロローターを内蔵していることを誰も気づかないだろう。この時計はディスクリート(控えめな)ラグジュアリーの優れた例であり、テレーニ氏が言うところの“リッチミニマリズム”なのだ。

パルミジャーニ・フルリエは今年で25年めになる。しかし、このブランドは私が経験したようなクオーターライフ・クライシスを経験することなく、これまでに見たことがないほど短期的にも長期的にも将来にフォーカスし、活気に満ちていると感じている。トンダ PFコレクションがパルミジャーニにおいて今後発表するデザインと時計製造の質を示す指標となるなら、テレーニ氏のリーダーシップのもと、素晴らしい手腕が発揮されると思う。

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